【重要】服用前にちょっとまって!〜歯科治療と骨粗鬆症の治療薬〜
2025.08.27
かいり歯科クリニックの院長の戸田です。
『骨粗鬆症の治療薬で歯科治療ができなくなる!?』
突然驚かせるようなご質問を投げかけさせて頂きましたが、皆さんは
骨粗鬆症治療薬に関する『MRONJ(薬剤関連性顎骨壊死)』というワードをご存知でしょうか?
今回はこのブログを通じて、
『歯科治療と骨粗鬆症治療との関係』
について、ご説明させて頂きます。
骨粗鬆症とは?
骨粗しょう症は、骨がスカスカになり骨密度やカルシウム量が低下し、骨折しやすくなる疾患です。
本国内における骨粗鬆症患者の最新の推計では患者数は 約1,590万人にのぼり、
女性:約1,180万人 男性:約410万人
とされており、女性は男性の約3倍のリスクであるとされおり、特に閉経後の女性や高齢者に割合が多いようです。
この病気は背骨や大腿骨の骨折リスクを高め、大腿骨骨折の場合、歩行困難や致死率の上昇に直結するため、早期の発見と治療が重要です。
骨粗鬆書症の診断基準と治療法は以下をご参照下さい。⇩⇩⇩⇩⇩⇩
***********************************
骨粗鬆症の診断基準(日本骨代謝学会)
以下のいずれかを満たせば「骨粗鬆症」と診断されます:
1.脆弱性骨折がある → 転倒などの軽い力で骨折した場合
2.骨密度がYAM(若年成人平均値)の70%未満
3.脆弱性骨折があり、骨密度が70~80%未満
※YAM(Young Adult Mean)は、20〜44歳の健康な若年成人の平均骨密度のことです。
患者様の骨密度がYAMに対してどの程度の割合か(%YAM)をもとに診断が行われます。
骨粗鬆症の治療法(簡易版)
薬物療法(後述します)
栄養と生活習慣の改善
・カルシウム:800~1000mg/日
・ビタミンD:800 IU/日
・適度な運動や日光浴
***********************************
特に骨粗鬆症の治療において問題となるのは薬物療法による骨が腐ってしまう、薬剤関連性の顎骨壊死が問題になります。
ではこの点について詳しくご紹介させて頂きます。
歯科治療と骨粗鬆症治療薬との関係
骨粗鬆症の患者さんは、治療薬として以下の薬を内服または注射で投与されます。
*********************************************
骨吸収抑制薬 (ARA) ※「ARA」は、骨吸収抑制薬(antiresorptive agents)の略語
・ビスホスホネート製剤 (BP)・・・ゾメタ、リクラスト、フォサマック、ボナロン等
・デノスマブ製剤 (Dmab)・・・ランマーク(高用量)、プラリア(低用量)
血管新生阻害薬
・スニチニブ (スーテントカプセル)
・ベバシズマブ (ベバシズマブBS点滴静注)
骨粗鬆症新規薬剤
・ロモソズマブ (イベニティ皮下注) 骨形成促進+骨吸収抑制のデュアル作用
*********************************************
上記の中でも骨吸収抑制薬(ARA)が骨粗鬆症の主たる治療薬になりますが、上記薬剤を使用されている方は、
抜歯やインプラント手術などの外科処置時に特に注意が必要
です。
骨吸収抑制薬って?抜歯やインプラントに影響するの?
骨の代謝のサイクルは『骨リモデリング』と呼ばれ、3〜6ヶ月かけて1サイクルで常に、古い骨から新しい骨に置き換わっています。
骨粗鬆症治療薬のBP製剤やデノスマブなどの骨吸収抑制薬(ARA)は、【参照】下図のように
古い骨を破壊する破骨細胞(骨の解体屋さん)を休ませることで、骨を作る骨芽細胞 (骨の建築屋さん)も新しい骨を作ることが難しなり、骨の代謝が弱まる、つまり骨の老朽化が進むのです。
結果的に抜歯やインプラント手術の際に骨が露出した際に感染のリスクが高まり、また感染しても治癒がしづらいため結果として骨が腐ってしまう顎骨壊死が起こるということです。
【重要】歯科治療前に骨粗鬆症治療薬の服用状態の確認が必須
最新の口腔外科学会のポジションペーパーによる見解(2022年アメリカと2023年日本)
今回の講演では、以下の2つのポジションペーパーが参照されていました。
・2022年 アメリカ口腔外科学会(AAOMS)ポジションペーパー
・2023年 日本口腔外科学会 ポジションペーパー
※ポジションペーパーとは、 学会の公式見解や指針を示したガイドラインのようなものです。
ポイント①:インプラント治療は禁忌ではない
いずれの学会も、
・高用量ARA投与中の患者さんにはインプラント手術は原則的に禁忌
・低用量ARA投与中の患者さんには、感染対策などに配慮すればインプラント治療は可能
といった見解を示しています。
ポイント②:より重要なのは口腔内の“疾患の有無”
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)のリスクに影響する“局所因子”として、
・歯周病の進行による周りから顎骨への感染
・虫歯の進行による根の先から顎骨への感染
・親知らずの異常な生え方による周囲の感染
・不良な被せ物や歯の破折による骨への感染
などが、インプラントや抜歯などの顎の骨に関与する手術のダメージよりも大きなリスクになる可能性があるとされています。
服用前にちょっとまって!!
《 歯科疾患の治療》 から 《 予防のためのメインテナンス》へ移行していることが大切
つまり
【重要】骨粗鬆症の治療薬を服用する前にお口の中の健康を整えていること
が最も大切になります。
確かに骨粗鬆症の治療薬は、大腿骨などの致命的な骨折を予防するためにとても有効です。
ですが、その効果の反面、服用開始前に口腔の健康状態を整えておく必要があります。
-
虫歯や歯周病の治療
-
親知らずの抜歯
-
定期的な口腔内のチェックとメインテナンス
これらを事前に行っておくことが、薬剤関連顎骨壊死の予防につながります。
かいり歯科クリニックでは、インプラント治療をご希望の方は、学会のガイドラインに基づいた安全・安全で確実な治療をご提案いたします。
「歯を失って困っている」「骨粗鬆症と診断されたけどインプラントできるの?」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
かいり歯科クリニックでは、今後とも当院を頼りにして頂ける患者様口腔内全体の健康を守りながら、長く安心できる歯科治療を提供してまいります。
【ご報告】日本歯周病学会『認定歯科衛生士』資格取得
2025.08.18
先日もご報告させて頂きましたが、このたび、当院の歯科衛生士 山元 が
日本歯周病学会『 認定歯科衛生士』資格 を取得し、認定賞状と認定バッジが届きましたので改めてご報告申し上げます。
この資格は、厚生労働省が認可する唯一の歯科衛生士向け認定資格であり、取得には専門的な知識・高度な臨床技術・学会発表など厳しい審査を通過する必要があります。
そのため、全国の歯科衛生士の中で取得できるのは わずか約1%程度 と、大変希少で価値のある資格です。
当院では、このような資格を取得できるのは、
日本歯周病学会のガイドラインに沿った診療体制 を整え、日頃から患者様に 安心・安全で質の高い歯周病治療 を提供しているからこそだと考えております。
今後もスタッフ一同、最新の知識と技術を学び続け、患者様のお口の健康と笑顔を守るために尽力してまいります。
歯周病治療や予防に関心のある方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。
夏季休診のお知らせ
2025.08.10
8月10日(日)~16日(土)は夏季休診とさせていただきます。
8月17日(日)から平常通り診療致します。 患者様にはご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
【セミナー】第53回 口腔インプラント専門医臨床技術向上講習会~
2025.08.07
かいり歯科クリニック院長 の戸田です。この度、
日本口腔インプラント学会主催『第53回口腔インプラント専門医 臨床技術向上講習会』
を修了いたしましたので、ご報告申し上げます。
今回の講習会では、以下の2つのテーマに焦点が当てられました。
・患者満足度の向上のために必要な知識と技術
・インプラント専門医に求められる外科的知識と技術
講演の先生方は、関東から九州までの各地でインプラント治療において研究・臨床の第一線で活躍されているスペシャリストの先生方でした。
特に勉強になったのが、骨粗鬆症治療薬に関する『インプラント治療におけるMRONJ(薬剤関連性顎骨壊死)の予防と対応』に関する講演でした。
今回はこのブログを通じて、『歯科治療と骨粗鬆症治療との関係』について、ご説明させて頂きます。
骨粗鬆症とは?
骨粗しょう症は、骨がスカスカになり骨密度やカルシウム量が低下し、骨折しやすくなる疾患です。
特に以下の層に多く見られます。
・高齢者
・閉経後の女性
この病気は背骨や大腿骨の骨折リスクを高め、大腿骨骨折の場合、歩行困難や致死率の上昇に直結するため、早期の発見と治療が重要です。
骨粗鬆書症の診断基準と治療法は以下をご参照下さい。⇩⇩⇩⇩⇩⇩
骨粗鬆症の診断基準(日本骨代謝学会)
以下のいずれかを満たせば「骨粗鬆症」と診断されます:
1.脆弱性骨折がある → 転倒などの軽い力で骨折した場合
2.骨密度がYAM(若年成人平均値)の70%未満
3.脆弱性骨折があり、骨密度が70~80%未満
※YAM(Young Adult Mean)は、20〜44歳の健康な若年成人の平均骨密度のことです。
患者様の骨密度がYAMに対してどの程度の割合か(%YAM)をもとに診断が行われます。
骨粗鬆症の治療法(簡易版)
薬物療法(後述します)
栄養と生活習慣の改善
・カルシウム:800~1000mg/日
・ビタミンD:800 IU/日
・適度な運動や日光浴
特に骨粗鬆症の治療において問題となるのは薬物療法による骨が腐ってしまう、薬剤関連性の顎骨壊死が問題になります。
ではこの点について詳しくご紹介させて頂きます。
歯科治療と骨粗鬆症治療薬との関係
骨粗鬆症の患者さんは、治療薬として以下の薬を内服または注射で投与されます。
骨吸収抑制薬 (ARA) ※「ARA」は、骨吸収抑制薬(antiresorptive agents)の略語
・ビスホスホネート製剤 (BP)・・・ゾメタ、リクラスト、フォサマック、ボナロン等
・デノスマブ製剤 (Dmab)・・・ランマーク(高用量)、プラリア(低用量)
血管新生阻害薬
・スニチニブ (スーテントカプセル)
・ベバシズマブ (ベバシズマブBS点滴静注)
骨粗鬆症新規薬剤
・ロモソズマブ (イベニティ皮下注) 骨形成促進+骨吸収抑制のデュアル作用
上記の中でも骨吸収抑制薬(ARA)が骨粗鬆症の主たる治療薬になりますが、上記薬剤を使用されている方は、
抜歯やインプラント手術などの外科処置時に特に注意が必要です。
骨吸収抑制薬って?抜歯やインプラントに影響するの?
骨の代謝のサイクルは『骨リモデリング』と呼ばれ、3〜6ヶ月かけて1サイクルで常に、古い骨から新しい骨に置き換わっています。
骨粗鬆症治療薬のBP製剤やデノスマブなどの骨吸収抑制薬(ARA)は、【参照】下図のように
古い骨を破壊する破骨細胞(骨の解体屋さん)を休ませることで、骨を作る骨芽細胞 (骨の建築屋さん)も新しい骨を作ることが難しなり、骨の代謝が弱まる、つまり骨の老朽化が進むのです。
結果的に抜歯やインプラント手術の際に骨が露出した際に感染のリスクが高まり、また感染しても治癒がしづらいため結果として骨が腐ってしまう顎骨壊死が起こるということです。
【重要】歯科治療前に骨粗鬆症治療薬の服用状態の確認が必須
最新の口腔外科学会のポジションペーパーによる見解(2022年アメリカと2023年日本)
今回の講演では、以下の2つのポジションペーパーが参照されていました。
・2022年 アメリカ口腔外科学会(AAOMS)ポジションペーパー
・2023年 日本口腔外科学会 ポジションペーパー
※ポジションペーパーとは、 学会の公式見解や指針を示したガイドラインのようなものです。
ポイント①:インプラント治療は禁忌ではない
いずれの学会も、
・高用量ARA投与中の患者さんにはインプラント手術は原則的に禁忌
・低用量ARA投与中の患者さんには、感染対策などに配慮すればインプラント治療は可能
といった見解を示しています。
ポイント②:より重要なのは口腔内の“疾患の有無”
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)のリスクに影響する“局所因子”として、
・歯周病の進行による周りから顎骨への感染
・虫歯の進行による根の先から顎骨への感染
・親知らずの異常な生え方による周囲の感染
・不良な被せ物や歯の破折による骨への感染
などが、インプラントや抜歯などの顎の骨に関与する手術のダメージよりも大きなリスクになる可能性があるとされています。
服用前にちょっとまって!!
《 歯科疾患の治療》 から 《 予防のためのメインテナンス》へ移行していることが大切
つまり
【重要】骨粗鬆症の治療薬を服用する前にお口の中の健康を整えていること
が最も大切になります。
確かに骨粗鬆症の治療薬は、大腿骨などの致命的な骨折を予防するためにとても有効です。
ですが、その効果の反面、服用開始前に口腔の健康状態を整えておく必要があります。
-
虫歯や歯周病の治療
-
親知らずの抜歯
-
定期的な口腔内のチェックとメインテナンス
これらを事前に行っておくことが、薬剤関連顎骨壊死の予防につながります。
かいり歯科クリニックでは、インプラント治療をご希望の方は、学会のガイドラインに基づいた安全・安全で確実な治療をご提案いたします。
「歯を失って困っている」「骨粗鬆症と診断されたけどインプラントできるの?」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
かいり歯科クリニックでは、今後とも当院を頼りにして頂ける患者様口腔内全体の健康を守りながら、長く安心できる歯科治療を提供してまいります。
院内定期清掃のご報告(夏期)
2025.08.04
本日8月4日(月)は、休診日を利用して専門業者によるプロ清掃を実施いたしました。
当院では、夏季と冬季の年2回、スタッフ全員での大掃除に加えて、床の洗浄、すべてのエアコン、そして高機能換気システムの徹底清掃を、プロのクリーニング業者に依頼して行っております。
今回も、長年お願いしている「千葉グローブシップ株式会社」の皆さまにお越しいただき、細部にわたる丁寧な清掃で院内がピカピカになりました。
さすが専門業者の技術と対応力です!
おかげさまで、院内の空気も床も清潔そのもの✨
来院される皆さまにとって、清潔で快適な環境の中で安心して治療やメインテナンスを受けていただけるよう、今後もこのような取り組みを継続してまいります。
また、日々の診療の中でも、スタッフ一同で「3S活動(整理・整頓・清掃)」を意識し、クリーンで安心・安全な診療環境を保つ努力を続けていきます。
今後とも当院をどうぞよろしくお願いいたします。
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