『骨が足りない』とインプラントを諦めていませんか?〜骨を育てて治す、からだに優しい選択肢〜
2026.07.14
「インプラントをしたいけれど、骨が足りないと言われた」
「他院で”骨がないので難しい”と断られてしまった」
こうしたお悩みで当院にご相談に来られる患者様は、決して少なくありません。
先日、院長が週末を利用して、インプラント治療における“骨の再生”に関する最新の勉強会に参加してまいりました。そこで学んだ内容は、まさにこうしたお悩みを抱える患者様にとって、大きな希望となるものでした。今回は少し専門的な内容も含みますが、患者様にもスタッフにも知っておいていただきたい、とても大切なお話です。
そもそも「骨の再生」には2つの種類があります
“骨を再生する”と一口に言っても、実は目的の異なる2つの治療があります。ここが混同されやすいポイントです。
① 歯周組織再生療法
今ある歯の”まわり”の骨(歯槽骨)を回復させる治療です。歯周病で溶けてしまった骨を、単に骨だけ足すのではなく、歯と骨をつなぐロープのような繊維(歯根膜)ごと再生させるのが特徴です。エムドゲインやリグロス(FGF-2)といったお薬を使い、歯根膜からの誘導で骨を取り戻していきます。
② GBR(骨造成)
歯を失って”なくなってしまった場所”に骨をつくる治療です。インプラント(人工歯根)を安全に埋めるための土台づくりで、①とは目的が異なります。
👉 歯ぐきが下がる状態(歯肉退縮)について
歯を抜くと、なぜ骨がやせてしまうのか
歯のまわりにある「歯槽骨」は、実は歯とセットで作られる骨です。イメージしやすいように例えると、太い木の根についている”土”のようなもの。植木鉢から木の根を引き抜くと、根だけがスルッとは抜けず、土ごとついてきてしまいますよね。歯と歯槽骨も、それと同じ関係です。
そのため歯を失うと、支えを失った歯槽骨は自然と吸収されていきます。目安として、抜歯からおよそ3か月で約1/3、半年で約半分の骨がやせてしまうと言われています。
「他院で骨が足りないと言われた」というのは、こうして骨が吸収された結果であることが多いのです。決して珍しいことではありません。
これまでのインプラント(骨造成)の課題
骨が足りない場所に確実に骨をつくるには、“PASSの原則”と呼ばれる4つの条件が知られています。
- 一次創閉鎖:傷口を張力なく(テンションフリーに)しっかり閉じる
- 血管新生:十分な血液が供給される環境をつくる
- スペースの確保:骨が育つための空間を確保する
- 安定性:その場所が動かず安定している

GBRの原理原則 PASSの原則 骨造成を成功させる4つの条件
▲ 骨造成を成功させる「PASSの原則」
この条件を満たすため、従来は人工の骨や”膜(メンブレン)”といった材料を使ってきました。しかし、体に異物を入れる以上、次のような負担も避けられませんでした。
- 歯ぐきを伸ばすために切開が増え、腫れや出血が起きやすい
- 手術の時間が長くなる
- 円安・物価高の影響で材料費が高騰し(10年前の約2倍)、費用のご負担が大きくなる
つまり、”骨がないケース”ほど、患者様の身体的・経済的な負担が大きくなってしまっていたのです。
膜を使わない、新しい”骨の再生”という選択肢
今回院長が学んできたのは、特殊な「膜」を使わずに骨をつくる新しい手技です(東北大学で基礎研究が行われ、学会でも認められ、特許も取得されている手法です)。
ポイントは、患者様ご自身の血液に由来する成分の力を活かして骨を安定させるという考え方。これにより、
✅ 余分な切開を減らせる → 腫れにくい
✅ 手術時間の短縮
✅ 高価な人工材料への依存を抑え、ご負担の軽減につながる
といったメリットが期待できます。院長自身、15年以上インプラント治療に携わってきた臨床経験のなかでも「妙に納得できる」と感じた、解剖学的な理にかなった手技でした。
※もちろん、すべてのケースにこの手技が使えるわけではありません。骨の状態や部位に応じて、最適な方法を選択します。

かいり歯科クリニック 院長 戸田智大 骨再生セミナー受講修了証
当院の患者様にお伝えしたいこと
「骨がないからインプラントは無理」──他院でそう言われた方も、どうか諦めないでください。骨を”育てて”治すという選択肢があります。
一方で、当院が何よりも大切にしているのは“正しい順番で、安全に治す”ことです。インプラントありきではなく、
- まず歯周病・むし歯の検査を行い、お口全体の環境を整える
- そのうえで、必要な方に、長期的に良い経過が見込める方法をご提案する
という流れを徹底しています。使用するインプラントも、歴史と実績のある国産大手メーカー(京セラメディカル)を採用し、長く安心して使っていただける体制を整えています。
院長が週末に学び続けているのは、こうして得た知識と技術を、患者様とスタッフ、そして地域の皆様に還元するためです。
「他院で断られた」「骨が足りない」とお悩みの方へ
どうぞご遠慮なくご相談ください。
まずはお口の状態を丁寧に診させていただくことから始めます。
英語圏の患者様が来院されました〜院長、まさかの「ルー大柴」に(笑)〜
2026.07.09
こんにちは。かいり歯科クリニック院長の戸田です。
いつもは真面目に歯やお口の話ばかりしておりますが、今日は少し趣向を変えて、先日クリニックで起きた”ちょっとした事件”について書かせてください。
ある日、Web予約から届いた1通の予約メール。
翻訳されて届いたその内容は、英語圏のご家族4名様からのご予約でした。口コミを見てお選びいただいたとのこと。とてもありがたいお話です。
ただ….ありがたいのですが、正直に申し上げます。私もスタッフも、全員が固まりました。
「受験英語」は、実戦では1ミリも役に立たない話
ここで少しだけ自己弁護をさせてください。。
私、こう見えて学生時代は英語がわりと得意なつもりでした。実は京都の進学校・洛南高校のⅢ類Aという進学クラスの出身でして……とはいえ、正直に白状すると、クラスの中では完全に落ちこぼれの方だったのですが(笑)
それでも高校1年生の時に強制的に英検2級を取らされ、センター試験の英語に関しても、模試や本番もだいたい200点満点中180点を超えるくらい。文法だって、そこそこ分かっていたはずなんです。
なのに。
いざ英語圏の方が目の前で話し始めると、まったく聞き取れない。 そして、ひとことも出てこない。 海外旅行でホテルのフロントに立っただけで無口になる状態です。
日本語での仕事ではあんなにおしゃべりな私が、英語になった瞬間、急に寡黙で控えめな男に大変身します(笑)頭の中に浮かぶのは、往年のルー大柴さんや長嶋監督のような、日本語と英語がまざり合った謎の言語だけ……。
でも、私には前々から一つの夢というか目標がありました。「いつか英語圏の方とも、きちんとコミュニケーションを取りながら治療してみたい」
今回はまさに、その願いが試される絶好のチャンスが不意に訪れたわけです。
スタッフ総出、手作りの「英語フレーズ集」で当日に挑む
とはいえ、いきなりご家族4名様を一度にお迎えするのは、既存の患者様にもご迷惑がかかってしまいます。そこで一度は「日本語のサポートの方がいらっしゃらないと難しいかもしれません」と、心苦しくもお断りのご連絡をしました。
ところが後日、奥様おひとりが直接クリニックまで足を運んでくださったのです。
「どうしてもこちらで診てほしい」と。
お人柄もとても柔らかく、温かい方でした。その想いに応えたい——そう思い、まずは奥様おひとりの診療をお受けすることにしました。
そこからは準備の日々です。
- 院長・受付担当・衛生士担当で専任チームを編成
- 10年以上前に買った『歯科臨床英会話』の本を引っ張り出して読み直し
- 受付から検査説明、治療中、X線撮影、会計まで、場面ごとの英語フレーズ集を全部手作り
- 翻訳アプリ・AIも総動員
そうして迎えた当日。1時間に及ぶ初診の資料取りと検査データの説明を、フレーズ集とAIをフル活用して、なんとかやり遂げることができました。
……もちろん、実際のとっさの会話では言葉が出てこず、やっぱり片言英語もままならない状態。恥ずかしい思いもたくさんしました。それでも患者様の優しさに助けられ、「伝えたい」という気持ちだけは、しっかり届いたと思っています。
この経験でわかった、大切な気づき
汗をかきながらの診療でしたが、終わってみて一つ大きな発見がありました。
歯科の現場で使う英語は、実はそんなに難しくない。
日常会話とは違い、診療で使う言葉はかなり限られているのです。
「お口を開けてください」「痛かったら手を上げてください」——こうした決まったフレーズさえ準備しておけば、案外なんとかなる。この気づきは、大きな自信になりました。
そして後日談を一つ。。少し自信をつけて調子に乗ってしまった私は、ご主人が日本人・奥様がアメリカ人というご夫婦の診療で、調子に乗って翻訳アプリや英語フレーズ集で対応していたところ……なんと自由診療の治療当日、通訳役のご主人がいらっしゃらないという事態に(笑)
準備も何もなく、再びルー大柴&長嶋監督が召喚され、よく分からない英語を炸裂させて玉砕という結末。研修医時代の初めての外科処置以来という緊張感を味わいました💦
ですが——ここでも、事前に作っておいたフレーズ集がかなり役立ちました。 特に処置後の注意事項は、フレーズ集の英語をそのまま読み上げただけ。しかもその内容は、普段私が日本の患者様にお伝えしている説明と、まったく同じだったのです。きちんと準備しておいて本当に良かった、と心から思いました。
【特別公開】院長が実際に使った英語フレーズ集(チェアサイド編)
せっかくなので、当院で手作りしたフレーズ集の一部をこっそりお見せします。英語圏の患者様、もし当院にお越しの際は「あ、ブログのやつだ」と思っていただけたら嬉しいです😊
🦷 診療のはじめに
| 日本語 | English |
|---|---|
| これからお口の中を拝見しますね。 | I’m going to examine your mouth now. |
| エプロンをおかけしますね。 | I’m going to put a bib on you now. |
| それでは椅子を倒します。 | I’m going to recline the chair now. |
| 体の力を抜いて、楽にしてください。 | Relax and make yourself comfortable. |
🦷 治療中の動作の合図
| 日本語 | English |
|---|---|
| もう少し口を開けてください。 | Please open your mouth a little wider. |
| 口を開けたままにしておいてくださいね。 | Please keep your mouth open. |
| 顎を上げてください。 | Please tilt your chin up. |
| あと少しです。頑張ってください。 | Almost done — you’re doing great. |
🦷 そして、いちばん大切なひとこと
痛かったり、止めてほしいときは、いつでも左手を上げてください。すぐに止めます。
Raise your left hand anytime, and I’ll stop right away.
この最後のフレーズだけは、どうしても伝えたい言葉です。「あなたのペースで大丈夫。主導権はあなたにあります」——歯科治療でいちばん患者様を安心させられるのは、この「いつでも止められる」という約束だと、私たちは考えています。
言葉の壁を越えて、当院の理念が届くのか。挑戦してみたい
今回の経験を通じて、私は本気で思うようになりました。
言語の壁があるために、「本当はきちんと治療したいのに対応できない」と悩んでいる歯科医院は、きっと少なくありません。だからこそ当院は、これからほんの少しずつ、仲間のスタッフが許してくれるなら英語圏の患者様への対応にもチャレンジしていきたいと考えています。
かいり歯科クリニックが13年間、大切にしてきたこと。
それは、きちんとした検査・診断に基づいて、患者様に分かりやすくご説明することです。
この姿勢は、日本語でも英語でも、変わらないはずだと思ってます。
私たちの理念が、言葉や国籍を越えて通用するのかどうか——スタッフみんなの力を借りながら、これからチャンスがあれば少しづつ挑戦していきたいと思っています。
つたない英語かもしれません。ときどきルー大柴が出るかもしれません(笑)。
それでも、「あなたをきちんと診たい」という気持ちだけは、世界共通だと信じています。
A Note to Our English-Speaking Patients
Thank you for reading our little story. We are studying English now, little by little.
We are sorry. We may not be able to help you in English right away.
But we really want to. One day, we hope to take good care of everyone — in any language.
院長 戸田智大 / Dr. Tomohiro Toda
夏季休診のお知らせ
2026.07.06
8月9日(日)~15日(土)は夏季休診とさせていただきます。
8月16日(日)から平常通り診療致します。
患者様にはご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
【セミナー】矯正アドバンスコースを修了しました ― 「歯を並べる」ではなく「噛み合わせをつくる」矯正へ
2026.07.05
こんにちは。かいり歯科クリニック院長の戸田です。
この度、S.O.R.G.(Shimozuma Orthodontic Research Group)東京矯正研修会のアドバンスコースを修了いたしました。
レギュラーコースから数えると約2年半。週末を利用して通い続けた長い学びの一区切りとなります。
このような貴重な学びを続けることができたのは、週末の診療を支えてくれたスタッフ、そして日頃より当院を信頼して下さっている患者様のおかげです。
この場をお借りして心より感謝申し上げます。

アドバンスコースで学んだこと
アドバンスコースのテーマは、いわゆる出っ歯(上顎前突・Ⅱ級)や受け口(反対咬合・Ⅲ級)といった難易度の高い症例です。
レギュラーコースで学んだ基礎の上に、これらの症例に対する診査・診断から治療計画(プランニング)の立て方までを、実習を交えて体系的に学びました。

修了はしましたが、これで終わりではありません。今後もS.O.R.G.に所属し、アドバンスコースの再受講や聴講という形で継続的に学び続けていきます。
きちんとした矯正治療は、学び続ける歯科医師にしか提供できない医療だと考えているからです。
下間一洋先生とS.O.R.G. ― 40年以上続く「本物の矯正教育」
S.O.R.G.を主宰されるのは、兵庫県明石市で下間矯正歯科クリニックを開業されている下間一洋先生です。
下間先生は、アメリカのDr. Terrell L. Rootのもとで直接学ばれたレベルアンカレッジシステムを基盤に、1981年に明石矯正研修会を発足。以来40年以上にわたり、「高い診断能力を持つ矯正医を育てる」ことを使命として、明石・岡山・東京・福岡・沖縄と全国にコースを広げ、数多くの歯科医師を育ててこられました。
私が何より感銘を受けているのは、下間先生の後進育成への情熱です。
80歳近くになられた今もなお第一線で教壇に立ち、受講生の質問に真正面から向き合い、「情熱を共有できる歯科医師を一人でも増やしたい」という想いを体現し続けておられます。
今回、下間先生は体調を崩され、東京にはお越しになれずオンラインでのご講義となりました。修了の節目に直接お礼を申し上げたかったのですが、それは叶いませんでした。
画面越しにも変わらぬ熱量でご指導くださったことに、心より感謝申し上げます。
またお元気なお姿で講義される日を楽しみに、聴講で学びに伺いたいと思います。
一般的な矯正と何が違うのか ― 「咬合理論」に基づく診査診断
「矯正治療」と聞くと、多くの方は「歯並びを見た目にきれいにするもの」というイメージをお持ちかもしれません。
しかし、最も重要なのは歯をただ並べることではなく、きちんと機能する「噛み合わせ」をつくることです。
S.O.R.G.の矯正が一般的な矯正の勉強会と大きく違うのは、咬合理論
――前歯がきちんと噛み、前歯が奥歯を守る噛み合わせをつくることを、診査診断の一丁目一番地に据えている点です。
さらに、歯だけでなく軟組織、つまり横顔(側貌)のプロファイルが美しくなる設計まで追求します。
この考え方に基づき顎関節と噛み合わせをきちんと分析することで、たとえば他院で「手術をしないと治らない」と言われた受け口(反対咬合)の方でも、症例によっては外科手術をせずに前歯部の咬合を確立できる可能性があります。
当院で矯正の診査診断を受けるメリット ― すべてを一つのクリニックで
ここからが、今日いちばんお伝えしたいことです。
矯正治療は、単独で成立する治療ではありません。
虫歯・歯周病・歯の根の治療がきちんと管理されていることが大前提です。
その上で、当院では次のすべてを一つのクリニックで一元的に治療・管理できます。
- 矯正の専門的な診査診断と矯正治療
- 咬合理論に基づいた噛み合わせの構築
- 審美的な被せ物などの補綴治療
- インプラントや歯肉の移植などの外科処置(難症例を含む)
- 治療後、治療期間より長いお付き合いとなるメインテナンス(歯周病学会などのガイドライに基づき、当院の歯科衛生士が担当します)
特に大人の矯正で大きな安心となる理由
成人の方の多くは、過去に治療した歯を少なからずお持ちです。
矯正治療は2〜3年前後の期間を要しますが、その間に以前治療した歯にトラブルが起きても、当院ならその場で対応できます。
矯正専門の医院では、虫歯や根のトラブルが起きるたびに別の歯科医院を受診し、医院間で情報をやり取りしながら治療を進めることになります。
当院では診断から矯正、補綴、外科、メインテナンスまでが一つの診療方針のもとにつながっているため、治療の中断や方針のズレが起きにくい。
これが包括的歯科治療(一元管理)の最大の価値だと考えています。
最後に ― 本当のゴールは「矯正治療が必要にならないこと」
ここまで矯正のお話をしてきましたが、実は当院が最も力を注いでいるのは、その治療の手前にある「予防」です。
お子さまについては、そもそも矯正治療が必要にならないように、歯並びと口腔機能(食べる・話す・呼吸する力)を早期から見守り、育てていく予防管理を大切にしています。
そして口腔機能への取り組みは、お子さまからご高齢の方まで生涯にわたって続きます。
「歯があるだけ」ではなく、きちんと食事ができて、楽しくお話ができて、白い歯を見せて笑える。
そのために、私たちはチーム一丸となって日々の医療提供に励んでいます。
歯並びや噛み合わせが気になる方、矯正中の虫歯や歯周病が心配な方――まずは専門的な診査診断からで構いません。
どうぞお気軽にご相談ください。
かいり歯科クリニック
院長 戸田智大
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